◉ VTJ ─旧約聖書注解

月本昭男山我哲雄大島 力小友 聡

◉ NTJ ─新約聖書注解

須藤伊知郎伊東寿泰浅野淳博廣石 望辻 学中野 実

旧約聖書には小説の原石がごろごろ転がっている。カトリック教会と縁の深かった作家の井上ひさしがそう言ったのを聞いたことがある。たしかに、旧約聖書は社会に生きる人間模様を様々に映し出しながら、それらをこえる世界を指し示そうとする。新約聖書もキリスト教もそこから紡ぎ出された。本企画が、この列島で聖書を学ぶ方々にそれぞれに原石を磨く機会を提供できるように、と願っている。
 

月本昭男
(つきもと あきお)
所属:上智大学
執筆担当:創世記・ヨブ記
【VTJ】

聖書に用いられている語句を詳しく解説する注解書は、聖書読解上必携である。宗教改革500年を記念して、わが国で最初ともいうべき学問的な聖書注解のシリーズが刊行される。これまでもっぱら欧米の研究を受容、消化することが中心であった日本の聖書学も、ようやく「一人立ち」するに十分な蓄積と熟成を達成したということであろう。現代の日本人、アジア人の目で見た聖書理解という特色を保ちながらも、国際的に通用する水準のものにしたい。
 

山我哲雄
(やまが てつお)
所属:北星学園大学
執筆担当:民数記・列王記
【VTJ】

500年前、マルチン・ルターは宗教改革の発端となった。その前後にルターは精力的に、新約聖書と並んで、旧約聖書の注解とドイツ語への翻訳を行った。母国語への聖書翻訳と多くの旧約聖書諸文書の講解は、「旧約学者ルター」とも評すべき仕事であった。我々は現代の旧約学を踏まえ、日本語によって旧約テキストを翻訳し注解しようとしている。それはヘブライ語原典を今、新たな思いで日本語をもって紹介する改革的事業である。
 

大島 力
(おおしま ちから)
所属:青山学院大学
執筆担当:イザヤ書・ホセア書
【VTJ】

今回の注解書シリーズの企画は、日本の聖書学においてエポックメーキングな出来事である。これはドイツのATD/NTD聖書注解に匹敵するのではないか。ATD/NTDはドイツでは50年以上経ってなお、教会の説教者や神学生に使用される最も基本的な聖書注解だ。われわれの注解もそのように、日本の教会において最も標準的な注解として長く用いられるものになるに違いない。それだけにわれわれ執筆者の力量が問われることになる。
 

小友 聡
(おとも さとし)
所属:東京神学大学
執筆担当:コヘレト書・雅歌
【VTJ】


新約聖書の注解書は従来、欧米の圧倒的な聖書解釈の蓄積を前提とするため、いくつかの優れた例外はあるものの、どうしても翻訳に頼ることが多かったです。しかし今回のNTJでは、最初から日本語で書き下ろし、聖書学の最新成果を反映しつつ、しかも一般読者にも読み通せる、現代日本の状況に向かって語られる神の言葉の解き明かしを進めます。ずいぶん欲張りな目標ですが、仲間と励まし合いながら全巻完成を目指します。
 

須藤伊知郎
(すどう いちろう)
所属:西南学院大学
執筆担当:マタイ福音書
【NTJ】

キリスト教およびキリスト教徒が絶えず聖書を読み、解釈することを通して生きてきた長い営みの中で、21世紀の日本において新約聖書を読むことの意味を読者一人一人が発見する手助けとなることを、私達は願っています。そのために、一方で欧米の注解書の伝統と真摯に向き合いつつも、日本社会と日本のキリスト教が持つ多様性を考慮して選ばれた素晴らしい執筆者の方々と、この注解書シリーズを送り出してゆきたいと思います。
 

伊東寿泰
(いとう ひさやす)
所属:立命館大学
執筆担当:ヨハネ福音書
【NTJ】

米国の新約聖書学者であるL. T. ジョンソンは、私たちが異なる立場との出会いによって成長することを指摘し、古代史料の研究の意義について述べています。今回の注解書の執筆者と読者が、時間、地理、社会制度、文化、言語を超えた遙かなる他者と新約聖書テクストをとおして遭遇する過程において、注意深く謙虚な聴き手として成熟することを期待しつつ、監修者・執筆者に与えられた大きな責任を粛粛と果たして行きたいと願っております。
 

浅野淳博
(あさの あつひろ)
所属:関西学院大学
執筆担当:ローマ書簡
     ガラテヤ書簡
【NTJ】

キリスト教は、古代の東地中海世界で独自の一神教を生み出したユダヤ教から出発し、周辺のヘレニズム・ローマ世界を巻き込みながら生成しました。そこには異質なもの同士のじつにダイナミックな出会いと対決そして変容のプロセスがあり、新約聖書はその証言です。私たちは新約聖書の原典を、日本語を駆使しながら読み解くことで福音の起爆力を解き放ち、この転換の時代を東アジアで生きるための新しい方向定位を探りたいと願っています。
 

廣石 望
(ひろいし のぞむ)
所属:立教大学
執筆担当:第2コリント書簡
【NTJ】

NTJの「J」は、日本語で、日本の読者のために、日本の状況を踏まえて書き下ろす注解という意気込みの表現です。紀元1~2世紀の地中海世界に発信された新約聖書のメッセージと、私たちの生きている21世紀の状況とが響き合ってくる、そのような読みを可能にする注解叢書にしたいと思っています。
 

辻 学
(つじ まなぶ)
所属:広島大学
執筆担当:第1、第2ペトロ
     書簡・ユダ書簡
【NTJ】

聖書の注解書という文学ジャンルは、近・現代の聖書学の産物ではなく、なんと古代にまでさかのぼるものです。クムラン教団のペシェルはその一例ですし、新約聖書の注解書もすでに紀元2世紀には書かれるようになりました。聖書の注解書は、聖書学者の長年にわたる骨の折れる集中的な学びの成果ですが、単なる学術的な作品にとどまらず、生きている信仰共同体を力づけ、新しい命を吹き込むために重要なものでもありました。この度の新しい注解書プロジェクトが、信仰共同体にも、さらにはもっと広く社会にも元気を与える役目を果たせたらいいな、と思っています。
 

中野 実
(なかの みのる)
所属:東京神学大学
執筆担当:ヘブライ書簡
【NTJ】